2007/09/08

商品発表で感動するなんて…

たぶん、今週のブログキーワードランキング断然1位のipod touch。

いままでにこれほど待望されたデジタル機器はなかったのではないだろうか。
「電話のないiphoneがほしい」
「アップルが出すPDAがほしい」

そんな声に応えた、理想のipodです。

なぜか、ニュースリリースは控え目で、多くの人は朝のフジテレビ「めざましテレビ」で知ったという人が多かったのではないでしょうか。
で、朝になって各ニュースサイトでも
「ipodの新ラインナップ発表!」
とやってました。

ビジネスマンたちは、それを見てあわててアップルサイトに行ったのではないでしょうか。
または、アップルで予約するのが一番速いと思ったのでしょうか。
当日の午前中は、appleショップのサイトが開きませんでした。想像を絶する人気です。
nintendo DS Liteは、ずっと品薄が続いていて、どっかのショッピングサイトに入荷したという情報が入ると、すぐにアクセスが殺到するという傾向にありますが、アップル本体ですからとんでもない人気になっています。

それほど、今回のipod touchの人気はすごいものがあります。
アメリカでiphoneが発表されたとき、日本では
「絶対に手に入れたい」
という声が上がりましたが、中でも多かったのは
「電話使えなくてもいいから日本で売ってほしい!」
という声でした。

電話の機能はふだん使っている携帯電話で十分。携帯電話までアップルにしなくてもいい。
でも、iphoneのインターフェイスは使ってみたい。
おそらく、今回の発表はそんな声に対応したものでしょう。しかも、アメリカではiphoneを使いたいがばかりにとりあえずAt&Tに加入はしますが、電話キャリアとしてAt&tを使いたくないために、OSの内部にアクセスして、電話キャリアとの通信機能を解除してしまう人まで出てきました。

スティーヴ・ジョブスを中心とする経営サイドでは、
「アップルの携帯電話を使いたい!」
という声に応えたつもりだったかもしれませんが、市場はそのようには受け取らず
「アップルのPDA(またはマルチメディア携帯プレイヤー)を使いたい」
のニーズを生み出しました。
アップルのあまりに先鋭的な携帯電話スタイルが新しすぎて、そういう電話を使ってみたいという気持ちにさせなかったようです。

考えて見れば、アップルはパーソナルコンピュータの次に、社運をかけて
「ニュートン」
というPDAを送り出しています。
ところが、これが信じられないほどの失敗を喫してしまったのです。
これにより、経営陣は全員責任を取らされ、アップルが再び市場の主役に戻るまで10年もの遠回りを余儀なくされていました。

今回のipod touch騒動は、まさにスティーヴ・ジョブスのリベンジ完成です。
iphone構想から、この日を夢に見てきたことでしょう。
単なる携帯電話とipodの融合では飽き足らず、PDA市場すべてを覆す。それがアップルの目標でした。

ニュートンの失敗の直後、機能もデザインも大きく見劣るPalmコンピューティング社が、アップルの失敗した市場を席巻するのを眺めていた無念。
いよいよipod touchを手にした人は、ニュートンの無念に感謝する必要があるでしょう。
あれがなければ、この奇跡のPDAは誕生しなかったのですから。

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